#4公演のネタバレについてそろそろ。ファイナル
さて。
ここまでくればあと一歩であります。
「封じるために開けよ」と書かれた鍵を使って、「被害者の魂を守」っていた鳥かごを開け、
ツギハギの顔の皮を手に入れた皆さん。
次に、これをどうすればいいのか?
今まで手に入った情報を少し整理してみましょう。
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まずは、遺品の数々です。
ここまで来ると、リストの遺品はすべて揃っていますが、
きちんと整理していくと、なぜか、余る遺品があります。
例えば、パールのネックレス。ばらの幽霊がしているものも数えると、リスト内より一本多くなります。
例えば、ハートの指輪。ばらの幽霊がしていた金のピンキーリングに加えて、なぜかもうひとつ見つかります。
例えば、ばらのイヤリング。ばらの幽霊がしているのに加えて、もうひとつ見つかります。
また、先ほど開けた「被害者の遺品を数えよ」という数字錠の箱。
「細い金の指輪」「懐中時計」「イヤリング」という指示に対し、「1-2-2」という数字を入れると錠が開きます。
しかし、会場内には、
金の指輪は「金の指輪(Jの遺品)」の他に、ばらの幽霊がしている指輪の計2本があります。
懐中時計は、「懐中時計(Gの遺品)」と、百合の幽霊の懐中時計(Bの遺品)の2つ。これはリストと同じ数です。
しかしイヤリングは「薄紫の丸石のイヤリング(Hの遺品)」「薔薇のイヤリング(Jの遺品)」に加え、薔薇の幽霊がしている薔薇のイヤリングの3対があるのです。
しかも、ばらの幽霊=Aだと思われていたにも関わらず、Aの遺品リストには、ばらの幽霊がしている「ばらのイヤリング」に類するものは記載されていません。
ここで、A=アリスの日記をめくり、彼女の所持品について拾い読みしてみましょう。
「お兄ちゃんが、指輪をくれた。ハート型で、とってもキュート。白いところがちょっぴりキラキラするのがきれい」、
「Mはすごくシックなパールビーズの首飾りをくれた! お母さんは『黒なんて子どもに似合わない』とか言う」。
つまり、被害者A=アリスのハートの指輪は白、パールのネックレスは黒、なのです。
ばらの幽霊はどうか?
ハートの指輪は金、パールのネックレスは白、です。
さらに、「親愛なるAへ」で始まる、BからAへの手紙。
「Aは優雅な一人暮らしでうらやましい」という記述がありますが、
A=アリスが両親と兄と猫と一緒に暮らしていることは、日記をざっと読んだだけでも明らかです。
そもそも、開始前にシスターは、「被害者どうしにつながりはなかった」と言っていたはずです。
さて……
最後に、決定的な証拠が見つかります。
百年前の事件の記事を集めた、スクラップブックです。
「婦女連続殺人犯、ついに逮捕」、「謎の犯人像」、
「顔剥ぎ魔、処刑される」といった記事が並んでいます。
犯人の名前はアンナ・ジンデル、
幼い頃にやけどで顔をなくし、そのため女性を殺して顔の皮をあつめ、つぎはぎして理想の顔を作ろうとした。死の百年後に復活して、今度こそ理想の顔を手に入れると宣言して死んだ、と。
犯人が処刑されたのは、くしくも犯人の誕生日であり、
その誕生日とは、最初の被害者アリス・アトリーの誕生日と同じである、とも記載があります。
犯人は、「黒髪」の女で、
「首の後ろに涙型のアザがある」とも。
アリスの誕生日の日付の日記を読み返すと、
「あの人のところにも行った。お母さんとの約束通り、二時間だけね。」と書いています。
二時間の約束とは何か? すぐ前のページに、「あの人の誕生日のお祝いに行くってところは、ゆずらなかった。二時間だけねって(母親に)言われたけど、しかたない」と記述があります。
つまり、
アリスは自分の誕生日に、別の誰かの誕生日祝いをしているのです。
さて、
きちんと推理が進んでいれば、確認すべきことは一つ。
アリスと同じ誕生日で、「親愛なるAへ」と宛名された手紙を持ち、
被害者の遺品に数えられていないアクセサリーばかり身に着けている、黒髪のばらの幽霊。
彼女の首の後ろには、涙型のアザがありました。
ここまでくれば、もう議論の余地はありません。
ばらの幽霊は、最初の被害者アリス・アトリーではなく、
連続殺人犯、アンナ・ジンデル(Anna Zindel)だったのです。
イニシャルA・Zのこの殺人鬼は、アリス・アトリー(AA)を筆頭に、
ブリジット・バロウズ(BB)、ココ・カーター(CC)、ドロシー・ディケンズ(DD)……と
26人の女性を殺す計画が途中で頓挫し死刑に処されました。
死ぬ歳に、百年後に復活して再び皮を手に入れる…と宣言したと、記事にはあります。
百年後の復活の日とは、アンナの処刑された日=誕生日である本日10月27(28)日です。
被害者たちの顔の皮は、
殺人鬼アンナの亡霊の魔の手から「被害者の魂を守る」ための錠で封じられました。
そして、顔を取り出すなら、「封じるために」つまりアンナの復活を阻止するために「開けよ」と鍵にはわざわざ記されていたわけです。
石版パズルの最後の一文にも、
「Aは自分の大事な顔を失くした。思い出させるだけでなく、慰め、封じよ」とあります。
このAとは、アリスではなく犯人アンナを指すわけです。
では、何を「思い出させ」、どうやって「慰め」「封じ」ればいいのか?
さて、ここで、
ほぼすべてのチームがつまずいた、見落とされたアイテムの存在を明かしましょう。
ここまでゲームが進むと、部屋中にそれまで解いた謎がちらばっています。
遺品のリスト、アクセサリーの類、日記やスクラップ・ブック、すでに開いた宝箱……、
今まで開けた宝箱には、モチーフがついていました。ひとつめは蝶。ふたつめは蜂の巣。
それとは違う、赤いタッセルのついた錠と、空の宝箱がいつの間にか増えています。
しかも、その錠は閉じている。鍵はどこにもない。
つまり、まだ使われていない錠なのです。
別に、この宝箱は勝手に湧いて出たわけではありません。
奥の部屋が開いた時、たくさん見つかったアイテムの中のひとつでした。
ある回では、箱の中に入っていた錠と鎖だけが取り出されて、テーブルに置かれました。
別の回では、中身は取り出されたものの宝箱自体はずっと奥の部屋に置き去りにされました。
最も惜しかった回では、宝箱ごと持ちこまれて、他の宝箱とならべて置かれました。
行き詰るたび、誰かがその宝箱を手に取って、見落としがないか調べていました。ふたをたたいてみたり、ひっくり返して底を調べてみたり。
開いていない錠を手に取って、「あれ、これって何?」「この宝箱って何が入ってたんだっけ?」と声を上げた人も複数いました。
しかし、迫りくる制限時間と、
スクラップや日記といった大量の文字情報、あと一歩まで解けている謎……
そんなものを目の前にして、開いている宝箱のことや、何も封じていない錠のことなど、気にしてる場合ではありません。
そして、ついに、
「鍵がかかった錠だけが入った、最初から開いている宝箱」の箱を
きちんと調べる人は、最後まで現れなかったのです。
しかし、これこそが、脱出のための最後の鍵でありました。
箱を裏返せばすぐ分かる隠しポケット。
その中に紙が一枚入っています。
この箱は聖なる箱。 百年の時が過ぎる前に、哀れなあの顔を封じよ。 まず箱の底に、犠牲者の手鏡を敷け。 そこに顔の皮をのせよ。 そして罪びとの名を呼び、その罪を告げよ。 悔い改めた証として、鍵を受け取れ。 その鍵で錠をし、 みなで、罪びとに眠りの挨拶を告げよ。 そうして、封印は完成する。 |
この紙を見つけ出し、
ばらの幽霊にむかって、「お前の名前はアンナ・ジンデル、10人の女性を殺して顔の皮を剥いだ」と指摘し、
錠のカギを受け取って、指示通りに空の宝箱の中身をいれて錠をします。
みんなで、「おやすみ、アンナ」と声をそろえると、
百年の長きにわたり、癒され得ない苦しみと慟哭に支配されていた殺人鬼の幽霊は、
「やすらかな眠り」につくことを選びます。
そうなれば、皆さんの「幽霊を安らかに眠らせる」というミッションはクリアとなり、
晴れて脱出成功、となったわけですが……
この「すでに開いている宝箱」、
発見された瞬間から、びっくりするほどすべてのプレイヤーに無視され続けました。
ばらの幽霊=犯人アンナであるということまで突き止めた皆さんは、「慰め」「封じ」るために色々な画策をします。
バラで花束を作ってプレゼントしてみたり。
顔の皮を宝箱の鎖でグルグルに封じてみたり。
「黒い服が良くお似合いですね、素敵です」と慰め(?)てみたり、
「俺はアトリー家の男だが、偏見をもっててすみませんでした」と謝ってくれたり(アリスの日記に、顔に火傷を負って隠棲生活をしているアンナと「遊んじゃダメ」と言う母や兄に「そんなの『へんけん』だわ」とアリスが怒る描写があるから…なのですが、すばらしい読み込み…)。
ここまで解き進めてきておいて、「顔の皮を渡せばイベントが進むのではないか?」と、
犯人に、わざわざ封じられていた顔の皮を渡してしまったチームもありました。
顔の皮をどのような形であれ、犯人アンナに渡してしまうと、
アンナは悪霊としての復活をとげてしまいます。
スクラップの記事や、最初のチラシにあった通り、
百年前の殺人鬼はよみがえって、惨劇がふたたび繰り返すこととなるのです。
たとえ時間がどれだけ残っていても、関係ありません。
バッドエンドであります。
この紙さえ見つけていれば……という回は、なんと4/5回、
うち2回は、15分以上の大幅な余裕を残してのバッドエンドでした。
いずれの回でも、
「この箱、何が入ってたっけ?」
「この錠、何に使ったっけ?」
という声が聞かれただけに(そしてスクラップブックも日記も、かなりしっかり読み込まれていただけに)
たいへん惜しかったといえます。
アイテムを幽霊に渡すと返してもらえなくなるのは、
「取り返しがつかないことを繰り返す」ことでしか前に進めない、という
今回の裏テーマでありました。
アンナに顔の皮を渡す際、どのチームも必ず、
「本当によろしいのね?」
と訊かれたと思います。
「まあ、なんとかなるさ」は僕の口癖でもあるのですが、
適当に何とかする、適当でもどうにかするしかない、なんてのは、現実世界で十分なのであって、
せめてたった一時間のゲームの最中くらいは、小さな違和感も矛盾も無視せずに考え抜いてしまいたい、
という僕の気持ちがこもっております。
さて、こんなにたくさん書いたにもかかわらず、
僕の中での三大グレートな謎解き(①ゴキブリ暗号読解 ②華麗なる正解避け ③エンドレス遺品長者)について一言も触れられないのが大変残念なのですが
本日このあたりで切り上げたいと思います……
長々と読んで下さり、ありがとうございました。
これ書くの大変だから、次回はもっと簡単にしよう。
【雨】
ちきしょー。今思い出しても腹の立つ!
まさか初回でPV撮る羽目になるとは誰が想像していたことでしょう!!
また、次回も楽しみにしております。
クソッ!(壁ドン
……あ、いえ、バッドエンドご愁傷様です。やっぱり最後のアレはせめて「どこかにある」ということだけでも示すべきだったなーと反省するところであります。
ぜひぜひ次回のリベンジをお待ちしております。
簡単にやられはしないですぞ!